離婚して実家の父母と同居予定。児童扶養手当の所得制限と関係ある?

先日、友人と話をしていたら、

「妊娠中に夫の不貞が発覚して、産後すぐに離婚したシングルマザーさんが周りにけっこういる」

と聞きました。

 

私の場合は、妊娠中ではありませんでしたが、元夫の海外赴任の帯同中の不倫でした。

自分が今までと違う環境に戸惑っている時に・・・という意味では似ているかもしれないと思います。

 

私が離婚を決意した時は、自宅のことや転校等を考えて、実家には戻らなかったんですね。

元夫に任せていた貯金は使い果たされていたので、現金の財産分与がほぼなく、その代わりに自宅の元夫の名義分を財産分与としてもらいました。

と言っても、まだ住宅ローンが残っていたので(ローンを元夫が払う約束)、すぐに売って実家に戻ったとしたら、その差額しか手元に残りません。

しかも、海外から戻ったばかりで、子どもも転校したばかり。

 

子どもが赤ちゃんだったら、きっと実家に戻ることを考えたと思います。

では、実家で実父母と同居する場合、児童扶養手当はどうなるのでしょうか?

同居する父母の所得も影響する?

住所が同じで、生計を一にしていると判断されると、児童扶養手当の所得制限に影響してきます。

横浜市の児童扶養手当を説明しているホームページに

所得の制限はありますか?

という項目があります。

 

 

こちらの表の受給資格者の『扶養義務者』に注目してください。

表の枠外に説明があります。

  • 扶養義務者とは、民法第877条第1項に定める者(直系血族及び兄弟姉妹)です。

 

児童扶養手当法の第十条に定められていますが、ちょっと、わかりにくいですね。

第十条
父又は母に対する手当は、その父若しくは母の配偶者の前年の所得又はその父若しくは母の民法 (明治二十九年法律第八十九号)第八百七十七条第一項 に定める扶養義務者でその父若しくは母と生計を同じくするものの前年の所得が、その者の扶養親族等の有無及び数に応じて、政令で定める額以上であるときは、その年の八月から翌年の七月までは、支給しない。
(引用元: 児童扶養手当法>第二章 児童扶養手当の支給

 

東京都新宿区の児童扶養手当説明ページが、とてもわかりやすかったので引用します。

「扶養義務者」とは、受給者と同じ住所に住民登録している直系血族および兄弟姉妹です。たとえば、受給者と同居している父母、祖父母、兄弟姉妹、18歳に達する日以後の最初の3月31日を迎えた子(18歳に達する日以後の最初の3月31日を迎えていなくても、一定の所得がある子や孫も該当になる可能性があります)などです。詳しくは、担当にお問合せください。
 【扶養義務者の範囲】下記の図の、受給権者から見て、濃く塗ってある部分が扶養義務者として判定します。
(引用元: 新宿区>くらし>出産・子ども・教育>手当・助成(子ども・教育)>助成・手当>児童扶養手当

 

現実的に関係しそうなのは、実家に戻った時に実家に住んでいる実父母や祖父母、ご自身のきょうだいの所得ですね。

市区町村に問い合わせたところ、世帯分離していても、同じ住所に住んでいる場合、生計を一にしていると判断されるとのことです。

もし、完全二世帯住宅等で、水道光熱費なども完全に分けているような状況であれば、ご相談くださいとのことでした。

扶養親族等の数が0(ゼロ)も?

所得制限で確認するのは、各人の所得です。

例えば、実家に父・母・妹が住んでいて、それぞれ所得がある場合。

父・母・妹の所得は合算せずに、それぞれの所得と限度額を比較します。

 

上の所得制限限度額表の受給資格者の扶養義務者の限度額をご参照ください。

ここで注意することは、扶養親族等の数です。

 

児童扶養手当の支払いは、八月から翌年七月を事業年度としています。

平成30年8月の現況届で、平成29年度の所得と養育費等の現況を確認し、

  1. 平成30年8月〜11月分を平成30年12月
  2. 平成30年12月〜平成31年3月分を平成31年4月
  3. 平成31年4月〜7月分を平成31年8月

というように、三回に分けて支給されます。

4月〜7月に支給されている分は、前々年度の所得から計算されたものですね。

 

ただ、2019年11月分から支給方法が変わり、奇数月に年6回、各2か月分支給されることになりました。

なので、上記以降は、

(1)2019年8月〜10月分を2019年11月
(2)2019年11月〜12月分を2020年1月
(3)2020年1月〜2月分を2020年3月

というように支給されていくことになります。

 

さて、例えば、これから離婚を考えている方を想定します。

出産までは正社員で、産休・育休を取得していたAさん。

子どもは平成30年1月に誕生し育休していたけれど、4ヶ月ほどで体調等に不安を感じ、同職への復職が難しいと考えて退職しました。

けれど、夫の不貞もわかり、再就職を考え、失業給付を受けながら就職活動を開始。

そして、平成31年1月に離婚して市区町村に申請して、平成31年3月に児童扶養手当の認定。

離婚までは子どもは夫の扶養に入っていました。

 

この場合、初回の児童扶養手当が支給されるのは、上記の2の期間(年3回支給のうちの)になります。

(よって、平成29年の所得に基づき計算される)

そして、

平成31年2月(申請月の翌月)〜3月の2ヶ月分が平成31年4月10日前後に支給

となります。

 

扶養親族等の数に戻りましょう。

この方が、平成29年・30年にご自身が扶養している扶養親族等の数は0(ゼロ)ですね。

平成31年に離婚して、お子さんをご自身の扶養にして初めて扶養親族等の数が1になります。

 

これにより、所得制限限度額表を参照する場所が変わってきますので、ご注意くださいね。

育児休業給付や失業給付は所得?

上記の例では、産休や育休、失業保険による失業給付が出てきました。

出産育児一時金・出産手当金については健康保険法で、また、退職による基本手当(いわゆる通常の失業給付)・育児休業給付金は、雇用保険法で、課税されないとなっています。

市区町村にも確認したところ、「課税される所得で判断しているので・・・」とのことでした。

 

【参考】

第62条 租税その他の公課は、保険給付として支給を受けた金品を標準として、課することができない。
健康保険法 > 第4章 保険給付 > 第1節 通則 > 租税その他の公課の禁止

第12条 租税その他の公課は、失業等給付として支給を受けた金銭を標準として課することができない。
雇用保険法 > 第3章 失業等給付 > 第1節 通則 > 公課の禁止

 

まとめ

実際に離婚を考えた時は、インターネットで色々と調べられると思います。

ただ、情報も数多くありますが、確実なのは判断をする市区町村になります。

 

電話で問い合わせた場合でも、事情を話して質問をすると、丁寧にご対応くださることが多いです。

ぜひ、離婚前に一度、離婚後に住む場所の市区町村に相談してみてくださいね。

 

例えば、離婚届を出したとき、その場ですぐに新しい戸籍ができて、子どもを夫の戸籍から自分の戸籍に移せるわけではありません。

でも、児童扶養手当は申請月の翌月から支給対象になるので、離婚月には出したい・・・など、思いますよね。

そのようなスケジュールの相談にも乗ってくれたり、何度も行き来しなくていいように持参する書類を教えてもらえます。

 

”市区町村”+”児童扶養手当”でインターネット検索すると、問い合わせ窓口が書いてあります。

離婚となると、悩むことばかりですが、うまくまわりを頼って、少しでもご自身の負担を減らしてくださいね。

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