義務教育での就学援助制度とは?収入の基準や金額について

義務教育での就学援助制度

就学援助制度とは、経済的な理由により小学校・中学校への就学が難しい子どもの保護者に対して、就学に必要な学用品費や給食費などを援助する制度です。

学校教育法では、義務教育を円滑に行っていくために、「経済的な理由により、就学困難と認められる子どもの保護者に対して、市町村は必要な援助を与えなければならない。」と定めています。

文部科学省の「令和5年度就学援助実施状況等調査」によると、就学援助を受けている人数は平成24年をピークに年々減少傾向にあり、令和4年度は約126万人が利用している状況です。

割合でいうと、約7人に1人が利用していることになります。

就学援助制度の対象者と所得条件

就学援助を受けられるのは、自治体により定められた条件を満たしている方です。

就学援助を受けられる人

就学援助の対象になるのは、国公立小学校や中学校に通学している子どもと保護者で、次のいずれかの条件に該当する人です。

  • 現在、生活保護を受給している
  • 前年4月1日以降に、生活保護が停止・廃止になった
  • 前年1月から12月中の世帯全員の合計所得が認定基準額以下(※)
  • 上記1~3以外で、災害や失業などにより収入が著しく減少した

※認定基準額は、家族構成や年齢などにより異なる

生活保護を受給している世帯や、それに準ずる所得の世帯のほか、災害や失業などで収入が激減した世帯も対象になります。

所得条件

就学援助制度で支援を受けられるのは、世帯総所得が基準金額以下の人です。杉並区の例を見てみましょう。

2人父または母、小学生約331万円(※)
3人父、母、小学生約369万円
4人父、母、中学生、小学生約432万円
5人父、母、中学生、小学生、幼稚園約456万円

※ひとり親加算を含む金額

認定基準額はあくまでも目安であり、家族構成や年齢により異なります。

また、自治体によっても異なるため、正確な金額を知りたい場合は、住んでいる自治体のホームページなどで確認してください。

シングルマザーや父子家庭の世帯はひとり親家庭への公的支援制度!手当や減免も解説もご覧下さい。

援助を受けられる費用と金額

就学援助制度で、具体的に援助してもらえる費用や金額について確認していきましょう。

就学支援の支給内容

就学援助制度で支給されるものは以下のとおりです。

  • 入学準備金
  • 学用品費
  • 学校行事費
  • 体育実技用具費(中学生のみ/柔道・剣道用具)
  • 学校生活管理指導表作成費
  • 給食費
  • 移動教室費
  • 修学旅行費
  • 卒業アルバム費
  • 医療費※

※生活保護を受給していて、学校病の治療を受ける場合のみ

生活保護を受給している場合は、上記のうち社会福祉事務所から支給される費用もあります。

学年ごとの支給額一覧

小学校1年から中学校3年まで、各学年で支給される費目と金額は以下のとおりです。

【小学校】

学年支給費目支給額
1年学用品費10,680円
入学準備金50,870円
2年~4年学用品費10,680円
5年学用品費10,680円
移動教室費保護者負担額(上限8万円)
6年学用品費10,680円
移動教室費保護者負担額(上限8万円)
卒業アルバム費実費
入学準備金59,040円
全学年給食費実費
学校生活管理指導表作成費3,000円
医療費実費

小学1年生のときに入学準備金として約5万円が支給され、6年生のときには中学校への入学準備金として約6万円が支給されます。

学用品費は、学年を問わず一律支給です。

【中学校】

学年支給費目支給額
1年学用品費34,410円
入学準備金59,040円(4月認定者のみ)
学校行事費7,370円
2年学用品費34,410円
学校行事費7,370円
移動教室費保護者負担額(上限8万円)
3年学用品費34,410円
学校行事費7,370円
修学旅行費保護者負担額(上限8万円)
卒業アルバム費実費
全学年給食費実費
体育実技用具費実費(上限:柔道/7,650円、剣道/52,900円)
学校生活管理指導表作成費3,000円
医療費実費

学用品費は学年を問わず約34,000円で、学校行事費が約7,400円です。

入学準備金は、中学入学前の3月に支給されるのが原則ですが、4月に認定された場合は1年生になってから支給されます。

移動教室費や修学旅行費、卒業アルバム費など実費が援助されるものは、支払額を確認できる領収書などが必要です。

申請時まで大切に保管してください。

申請方法や支給時期

就学援助制度の申請書は、毎年4月の進級時に小学校・中学校から配布されるのが一般的です。

提出方法は学校により異なり希望者のみが学校に提出するケースが多いですが、申請の有無にかかわらず全員が提出するケースもあります。

学校から配布されない場合は自治体や教育委員会のホームページからダウンロードできます。

申請は随時受け付けている自治体がほとんどですが、申請月から支給対象となるためさかのぼって受給することはできません。

申請結果は、7月上旬から下旬を目安に学校を通して通知され、審査の結果援助に該当すれば申請日を基準として援助を受けられます。

なお、年度の途中で家計が急変した場合は再申請が可能です。

支給時期は自治体により決められており、判定結果の通知に記載されているのが一般的です。

例としていくつかの自治体の支給日を紹介します。

自治体名支給日
練馬区年5回(8月・10月・12月・2月・3月) 
前橋市年3回(7月・10月・1月)※場合により3月に4回目あり
横浜市年3回(7月・11月・3月)