現役世代がマネープランを考えるなら、まずは3大ライフイベントに必要なお金を準備できるように計画を立てましょう。
- 住宅購入費用
- 教育費用
- 老後の費用
これらのライフイベントには、思っている以上にまとまったお金が必要になるため、早めに準備が必要です。
そこでここでは、必要な資金や準備の方法について考えていきます。
やっぱり欲しい!マイホーム購入費用
いつかは自分たちの家が欲しいと思っている人も多いのではないでしょうか?
もしかしたらもう、マイホームを購入するために頭金を準備している人も多いかもしれませんね。
ちなみに公益社団法人生命保険文化センターの調査によれば住宅購入に必要なお金の平均額は、土地付注文住宅は4,700万円台、建売住宅は3,700万円台、マンションは4,900万円台でした。
これらの結果からマイホームの購入は、人生で最も大きな買い物といえます。
多くの人は住宅ローンを利用して購入するため、マイホームの購入資金として一度に数千万円もの大金を準備する必要はありません。
しかしマイホームを購入するには、実は物件購入費用とは別に諸費用が必要です。
マイホームを購入する時には、住宅ローンの借入費用や不動産登記にかかるお金、家具購入や引越し代金など、思っている以上にお金がかかります。
住宅購入時の諸費用は、新築マンションの場合、物価価格の3〜5%。中古マンションや新築・中古の一軒家の場合は物価価格の6%から13%が必要だと言われています。
例えば、新築一戸建で4,000万円の場合に、必要な諸費用が最低でも240万円です。
引っ越し費用だけでなく、家具や家電の購入費用に、火災保険料。また頭金を別に準備する必要があるので、思っている以上にまとまったお金を準備しなければいけません。
次に気になるのが頭金の金額です。
平成29年度(国土交通省発表)住宅市場動向調査によると、購入資金と自己資金の割合は次の通りでした。
購入資金 | 借入金 | 自己資金 | 自己資金比率 |
---|---|---|---|
注文住宅 4,082万円 | 3,163万円 | 919万円 | 22.50% |
分譲戸建住宅 3,750万円 | 2,947万円 | 803万円 | 21.40% |
分譲マンション 4,049万円 | 2,717万円 | 1,333万円 | 32.90% |
中古戸建住宅 2,732万円 | 1,700万円 | 1,033万円 | 37.80% |
中古マンション 2,329万円 | 1,298万円 | 1,032万円 | 44.30% |
住宅ローンを利用したとしても、頭金や諸経費のために自己資金が1,000万円前後必要になります。
そのため、住宅購入に備えて貯蓄をするなどの準備が必要ですね。
頭金ゼロでも住宅を購入することは可能です。
しかし頭金をゼロにして住宅購入費用の全額を住宅ローンで賄った場合、頭金を入れた場合比べると月々の住宅ローンの負担が大きくなってしまいます。
また頭金ゼロの場合、借入金利が高くなってしまうことがあります。
住宅ローンとしてよく利用される、フラット35の場合は融資額全体の金利が頭金が1割以上の場合は1.40%.
1割未満では1.84%と頭金がゼロの場合は借入金利が高く設定されています。
例えば4000万円の住宅を購入した場合に、頭金ゼロの場合と頭金を購入資金の2割にあたる800万円入れた場合の総額の支払い金額は次の通りです。
毎月の返済額 | 総支払額 |
---|---|
頭金ゼロ 129,244円 | 約5,429万円 |
頭金2割 96,419円 | 約4,850万円(頭金込み) |
つまり頭金がゼロの場合は、住宅購入時に総支払い金額が高くなってしまいます。
差額が約579万円と思っている以上に差が大きくなってしまうので、できれば頭金は準備して方がいいでしょう。
また、住宅ローンは銀行などの金融機関が物件の担保価値などから借入金額を決めます。
中古住宅の場合は担保価値が低くなってしまいがちのため、購入資金の全額を住宅ローンで借りられないケースがあります。
このように頭金ゼロで購入した場合、総支払額が大きくなってしまうデメリットがありますが、頭金ゼロのでも住宅を購入することは可能です。
しかし、住宅購入時の諸経費や引っ越し費用などは準備しなければいけません。
そのため住宅購入のためには、最低でも300万円前後は必要だと考えておきましょう。
子どもの未来のための教育費用
子供の教育費用もマイホームの購入資金と同じように、まとまって資金が必要です。
ちなみにソニー生命の「子どもの教育資金に関する調査2024」によれば、子供の教育資金に対して不安を感じると回答した人が全体の8割半いました。
不安を感じる理由の多くが、「教育資金がどのくらい必要となるかわからない」と回答した人が最も多く、次は「収入の維持や増加に自信がない」と続きました。
この調査結果から、夫婦で子供の教育費用がいくら必要で、どうやって準備したらいいか?を普段から話し合っておくことが大切だといえます。
子供一人に必要な教育資金は子供の進路によって大きく変わります。
幼稚園から高校まですべて公立だった場合は約542万円、すべて私立だった場合は約1,772万円です。
また高校卒業後、大学へ進学した場合の教育費用の目安は次のとおりです。
国立 | 私立文系 | 私立理系 |
---|---|---|
自宅 約402万円 | 約563万円 | 約707万円 |
自宅外 約731万円 | 約870万円 | 約1,013万円 |
このように高校卒業後大学へ進学した場合はさらに教育資金が必要です。
そのため子供が高校卒業するまでの間に大学への進学費用の準備しておくと安心でしょう。
親世代の場合、子供の大学進学資金の準備方法としては学資保険と貯蓄が一般的でした。
そのため、子供が生まれた時に学資保険に加入するように進められた人も多いのではないでしょうか?
しかし今は低金利の状態が続いているので、学資保険にお金を預けたとしても昔に比べて増えません。
また定期貯金についても同じことがいえます。
大学進学のために教育資金の準備方法は、ソニー生命の「子どもの教育資金に関する調査2019」よると以下の通りでした。
- 銀行預金(54.3%)
- 学資保険(50.8%)
- 財形貯蓄(12.%)
- 学資保険以外の生命保険(7.4%)
- 金融投資(6%)
ちなみに金融投資に関しては、2014年から徐々に増加傾向にあります。
また近年つみたてNISAをはじめとして、投資初心者でも投資をしやすい環境が整いつつあるため、これからは子供の教育資金の準備方法として、投資信託などの方法も視野に入れておく必要があるでしょう。
安心して暮らすための老後生活費用
老後の生活費用も現役世代のマネープランの中でも考えたいライフイベントの一つです。
ただし、マイホームの購入資金や教育資金に比べると、必要になる時期が先になります。
しかし早めに準備をスタートすることで、少ない資金でも効率的に準備が可能です。
まずは老後に毎月どのくらいの生活費用が必要か?考えてみましょう。
生活費はライフスタイルや住んでいる地域などによって大きく異なります。
ちなみに総務省が実施した平成29年の家計調査報告年報(家計収支編)によれば、高齢者無職世帯の消費支出の1ヶ月の平均金額は23万7,682円でした。
また年金などの実収入の平均は20万4,587円でした。そのためこの調査から毎月3万3,095円の赤字が発生していることが判明しました。
このように老後は年金などでは十分に老後の生活費用を賄うことが難しいことがわかります。
老後は生活費用だけでなく、医療費や介護費用、住宅のリフォーム費用などまとまったお金が必要なることも。
このように老後は思っている以上にお金が必要です。
老後に必要にお金の次は、老後の収入源を確認していきましょう。
主な老後の収入源は公的年金です。
厚生労働省が公開している平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況によれば、国民年金の平均月額は5万5,000円です。
また厚生年金の平均月額は14万7,000円です。
ちなみに家族構成別の1ヶ月の年金支給額の目安は次のとおりです。
国民年金 | 単身者 55,615円 |
国民年金 | 夫婦2人 111,230円 |
厚生年金 | 単身者 男性 166,668円 |
厚生年金 | 単身者 女性 103,026円 |
厚生年金 | (夫)+国民年金(妻) 222,283円 |
厚生年金 | 夫婦共働き 269,694円 |
ただし厚生年金は個人差が大きいため、支給される年金額はねんきん定期便で確認しましょう。
ねんきん定期便は毎年誕生月に、その時点で想定される年金額が書かれています。
ただし50歳未満の場合、あくまでも現時点まで支払った保険料から試算した年金額です。
そのため60歳まで保険料を納付し続けることで、もらえる年金額は増えていきます。
老後に向けて準備したい金額は、老後に必要なお金から老後に受け取ることができる金額を引くことで、ざっくりと把握できます。
ちなみに老後にゆとりのある生活を送るために老後までに準備したい資金の目安は3,000万円前後です。
ただし、この金額はあくまでの目安にしかすぎません。
毎月かかる生活費や年金の金額、また何歳まで仕事をするかによって大きく変わります。
そのためまずは夫婦で老後のお金について話をしてみましょう。
これからはお金を貯めるだけでなく増やす!
マイホームの購入資金や子供の教育費、そして老後の生活費と将来に向けてまとまったお金を準備する必要があります。
お金を準備する方法は、大きく分けると貯蓄と投資の2つです。
私たちの親世代はマイホームの購入費用や子供の教育費用は貯蓄や保険でしっかり準備することができました。
また現役世代に比べると公的年金の支給額も多いため、金を貯める方法で十分かもしれません。
しかし私たち現役世代はお金を貯めるだけでは不十分でしょう。
なぜなら昔の定期保険や学資保険や年金保険の金利は、今とは比べものにならないほど高金利でした。
つまり貯金するだけでお金が増えていったのです。
ちなみに1980年代後半から1990年代前半のバブル期の普通預金の金利は平均2%。定期預金の平均は6%です。
現在はマイナス金利の影響から2019年7月時点で、普通預金で0.001%。比較的に金利の高いネット系の銀行でも定期預金の場合0.01%前後です。
このことからも20代30代の現役世代は親世代と同じ方法では、将来必要なお金を準備することが難しいことがわかります。
お金を準備する方法は貯蓄と投資の2つがあります。
現役世代は将来必要なお金を貯蓄だけ賄うのは不可能だと考えて方がいいでしょう。
そこで現役世代がお金を準備するためには、投資をしていく必要があります。
しかし、お金について学ぶ機会がない日本人にとっては、まだまだ投資は危ないものと認識している人も多いのではないでしょうか?
そこで次は投資に関する基本的なことを一緒に学んでいきましょう。
「卵は一つのカゴに盛るな」という言葉を聞いたことありますか?これは投資をする上で大切な考え方の一つです。
もし自分の持っている卵を全て同じカゴに入れて落としてしまった場合、全ての卵が割れてしまいます。
しかし卵を複数のカゴに入れておけば、一つのカゴを落としてしまっても他のカゴに入れた卵は無事です。
つまり投資をする場合、特定の商品にだけ投資するのではなく複数の商品に分散することで、リスクを分散でき結果できるだけリスクを抑えて投資をすることができます。
つまり、将来に向けてお金を準備する場合、貯蓄だけ、保険だけ、投資信託だけというように一つの方法に絞るのではなく、複数の方法で準備することが大切です。
また投資信託で運用先を選ぶ場合も、債権や株式と複数の運用先に投資することで運用によるリスクを抑えることができます。
長期投資とは10年から20年と長期間に渡り運用することです。
長期投資をすることで複利の効果を得ることができ、短期投資よりもリスクがコントロールしやすくなります。
マイホームや教育費用、老後の生活費用は、準備期間を長くとることができるため、これらのお金を準備する時に長期投資を意識するといいでしょう。
資金に余裕があるならまとまったお金をまとめて投資する一括投資がいいでしょう。
しかし現役世代は、子供の教育資金や住宅ローンの返済など支出が多くなる世代です。
そのため少額からスタートできる積立投資が向いているでしょう。
積立投資は定期的に毎月決めた金額だけ投資をするため、投資のタイミングを気にする必要がなく、好きなタイミングでスタートできます。
また投資対象の価格が高い時は、購入数を少なく価格が安い時は購入数を増やすことが購入価格を平準化することが可能です。
それにより投資のタイミングによる影響を受けにくくなります。
この考え方はドルコスト平均法といい、投資初心者が投資を始める時に大切な考え方です。
これからの時代の新しいお金の増やし方
つみたてNISAの登場で、20代30代にとってお金を増やす方法として投資することが日本人もだいぶ浸透してきたと思います。
また最近はソーシャルレンディングやロボットアドバイザーなどのお金を増やす方法が登場しました。
ここでは新しい時代のお金の増やし方としてソーシャルレンディングやロボットアドバイザーについて紹介します。
ソーシャルレンディングとはお金を借りたい人と貸したい人をマッチングするサービスです。
個人から資金を集める方法のためクラウドファンディングの一種で、融資型のクラウドファンディングと言われています。
もしお金を増やす目的でソーシャルレンディングをする場合は、インターネット上でソーシャルレンディング運営会社にお金を預けます。
預けたお金はソーシャルレンディング運営会社を通して、お金を借りたい人に対して融資をします。
融資を受けた借主はあらかじめ決められてた金利を基づいて返済を行うため、この時に支払われた利率から手数料などを引いた残りが貸主に支払われます。
ソーシャルレンディングの利回りは、銀行の金利などに比べると高く設定されているため、最近では運用先の一つとして選ぶ方が増えています。
ロボットアドバイザーは、投資したい人に対して投資のアドバイスをする助言型と、運用まで行う一任型の2つのタイプがあります。
投資信託と同じように国内外の債権や、株式などで運用します。
そのため投資信託と同じものだとを思われている人が多いでしょう。投資信託との一番の違いは投資にかかる手間です。
投資信託の場合は自分で運用先を決めますが、一任型のロボットアドバイザーの場合は運用先の選定や購入などすべてロボットアドバイザーが行います。
そのため投資の知識がなくても始めることができるので、投資初心者に最適な投資方法です。
まとめ
20代、30代の現役世代が人生100年時代を生き抜くためには、お金を増やす方法が取り入れていく必要があります。
つみたてNISAやジュニアNISA。またソーシャルレンディングやロボットアドバイザーなどの新しい方法の登場によって、これからますます投資が身近になっていくでしょう。
ぜひ、この機会にご夫婦でライフプランに合わせた、自分たちのマネープランを考えてみてください。