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児童扶養手当(母子手当)の計算の仕方って?所得制限が収入アップの悩みのタネ?

児童扶養手当(母子手当)でも児童手当でも国民健康保険でも、あらゆるところに登場する『所得』。

収入がアップすると所得も増えて、児童扶養手当の支給額が下がっちゃったり、もらえなくなったりするのが心配…。

いくらまでの収入なら全額もらえるのかな?

という声を聞くことがあります。

実際のところ、所得ってどう計算するのか、収入がアップしたらどうなるのかを考えていきたいと思います。

児童扶養手当の計算方法

ちょっと複雑な児童扶養手当の計算を、例を使ってご説明します。

所得制限の額は?

計算の前に、所得制限の金額をチェックしてみましょう。

児童扶養手当は全額支給と一部支給の所得制限がそれぞれあります。
平成30年7月~平成31年9月申請分【平成30年度(平成29年分)所得】

扶養親族等の数平成30年度(平成29年度分)所得
全部支給の所得制限限度額
平成30年度(平成29年度分)所得
一部支給の所得制限限度額
0人490,000円1,920,000円
1人870,000円2,300,000円
2人1,250,000円2,680,000円
3人1,630,000円3,060,000円
4人2,010,000円3,440,000円
5人2,390,000円3,820,000円
(表出典)横浜市ホームページ:児童扶養手当>所得の制限はありますか?

ただ、パッと見て、「私はここだわ!」とわかる方は少ないと思います。

私もよく知らない頃は、「そもそも『所得』って何を見ればいいの?給与明細?」なんて思っていました。

所得の計算方法(昨年分)

所得は、今得ている諸々の収入(給与以外にも株の配当や不動産の家賃収入等)から、定められた控除額を差し引いた金額であり、児童扶養手当においては、もらっている養育費の8割を足したものです。

給与収入のみの方で、今年の支給額(昨年度の所得)について計算される方は、会社から渡された『源泉徴収票』の”給与所得控除後の金額”が基本の所得です。

ここから、差し引ける控除額を引き、もらっている養育費の8割を加算したものが、児童扶養手当における所得です。

差し引ける控除額については、次の今年分の計算方法の3にある表をご覧ください。

養育費は昨年一年間でもらった金額に0.8を掛けて、足してください。

所得の計算方法(今年分)

昨年の所得は、源泉徴収票ですぐにわかりますが、今年の所得状況はどうでしょう?

去年の所得に対しては源泉徴収票の”給与所得控除後の金額”を見ればいいけれど、今年、このまま働き続けたらどうなるの?と、思うことありませんか。

特に、転職したり、働き方を変えたりされた方は気になるところです。

では、時給1,050円で1日7時間、週4日のパートをしている方で、お子さんが1人・養育費を月に2万円もらっているの方で考えてみましょう。(給与収入以外はないものとし、同居しているのは15歳以下のお子さんのみとします)

  1. まず、一年間の収入について。
    1,050円×7時間×4日×49週間=1,440,600円/年
    (1年は約52週ですが、夏・冬の休暇と家庭の事情によるお休みを考慮して49週で計算しています。ご自身の具体的な予定が立っている方は、具体的に年収の計算をなさってみてください。)
  2. そして、次に給与所得控除額を差し引きます。
    1,440,600円(一年間の収入)−65万円(給与所得控除額)=790,600円

    (図出典)国税庁>タックスアンサー>所得税>サラリーマンと還付申告>No.1410 給与所得控除
  3. さらに差し引ける諸控除額を差し引きます。この方は定額の控除だけなので、
    790,600円−8万円(定額の控除)=710,600円

    (図出典)横浜市ホームページ:児童扶養手当>所得の制限はありますか?
  4. 最後に養育費の8割を加算します。
    710,600円+(2万円×12ヶ月×0.8)=902,600円(所得額)
    となり、全部支給の所得制限限度額87万円を超えることがわかりました。

支給される児童扶養手当はいくら?

先ほどの例の方は、全額支給ではなく、一部支給ということがわかりました。

では、具体的にいくら支給されるのでしょうか?

平成31年4月からの手当の額は以下の通りです。

児童数全額支給一部支給
児童1人のとき42,910円42,900円~10,120円
児童2人のとき10,140円を加算10,130円~5,070円を加算
児童3人以上のとき3人目以降1人につき
6,080円を加算
6,070円~3,040円を加算
(表出典)横浜市ホームページ:児童扶養手当>手当の額はどのくらいですか?

そして、一部支給の具体的な計算式は以下の図の通りです。

児童1人のときの月額=42,900-(受給資格者の所得額―所得制限限度額)×(所得制限係数0.0229231)

※42,900と所得制限係数は物価変動等の要因により、改正される場合があります。

先ほどの例の方で計算すると、全額支給の額から引かれる金額は、

{902,600円(受給資格者の所得額)ー870,000円(所得制限限度額)}×0.0229231=747.29…円

10円未満四捨五入なので、750円。

これを式に当てはめて、

42,900円ー750円=42,150円(一部支給額)

このように、この例の方の場合、毎月42,150円が支給されることがわかりました。

実際は、一年間に3回(12月、4月、8月)、4ヶ月分をまとめて支給されます。(2019年11月からは、一年間に6回奇数月に2ヶ月分をまとめて支給となります

時給が50円変わったら?どちらの方が収入アップ?

最初に書いたように、児童扶養手当を満額もらえるならもらいたい・・・という声もよく聞かれます。

では、ちょっと比較をしてみましょう!

例えば、この方の時給が1,000円だったとします。

先ほどと同じように所得を計算してみましょう。

  1. 一年間の収入
    1,000円×7時間×4日×49週間=1,372,000円/年
  2. 給与所得控除額を差し引きます。
    1,372,000円(一年間の収入)−65万円(給与所得控除額)=722,000円
  3. 差し引ける諸控除額を差し引きます。
    722,000円−8万円(定額の控除)=642,000円
  4. 養育費の8割を加算します。
    642,000円+(2万円×12ヶ月×0.8)=834,000円(所得額)

となり、所得制限にかからず、42,910円の全額支給となります。

『全額支給』と聞くと「やったー!」と思ってしまいますが、もう一度、先ほどの時給1,050円の例と比べてみましょう。

時給1,050円の一ヶ月の平均給与は、

年収1,440,600円÷12ヶ月=120,050円

時給1,000円の一ヶ月の平均給与は、

年収1,372,000円÷12ヶ月=114,333円

平均給与を見ると、時給1,050円の方が、月に約5,700円多くなります。

児童扶養手当を見ると、時給1,000円の方が、月に760円多くなります。(42,910円ー42,150円=760円)

このパターンでの比較だと児童扶養手当を全額もらうより、時給50円アップした方が月に約5,000円収入が増えることになりますね。

(図出典)厚生労働省の『ひとり親家庭の支援について』の『平成30年度手当額の例(手当受給者と子一人の家庭の場合)』

ご覧の通り、一年間の収入が365万円(一部支給がもらえる年収の目安)まで、給与収入+児童扶養手当額の総額は、凹むことなく上がり続けることがわかります。

職場で時給50円アップという話が出た場合、嬉しく思うとともに「児童扶養手当の制限に引っかからないかな?」という不安を感じるかもしれません。

でも、児童扶養手当の支給額は減っても、収入の総額は上がっていきます。

また、児童扶養手当は、お子さんが18歳までの支給です。

その後のキャリアのことまで考えて、ぜひ収入アップを考えてくださいね。

収入が増えてきたら、所得控除をもっと考えよう

  • 収入は増やしたい。
  • 税金は減らしたい。

誰もが考えることではないでしょうか。

収入が増えるにつれ、今度は所得税や住民税といった税金が気になってくると思います。

これも『所得』に注目してみましょう。

注目するのは、『控除』です。

例えば、ふるさと納税

ふるさと納税には”税金の控除”があります。
(詳細はこちら→ 総務省>ふるさと納税のしくみ”税金の控除について”

また、iDeCo(イデコ)/個人型確定拠出年金

iDeCo(イデコ)の掛け金は、小規模企業共済等掛金控除の枠で全額所得控除され、所得が下がります。
(詳細はこちら→ 厚生労働省>iDeCo(イデコ)/個人型確定拠出年金

これらについては、また、じっくり別コラムとして書いていきたいと思います。

最後に

離婚を考えた時やシングルマザーとして生活していると、様々なタイミングで不安に感じたり、悩んだりすることがあると思います。

離婚後の生活はどうなるのか?

このまま働き続けて教育費など足りるのか?

など・・・。

そんな時は、ぜひお一人で考え込まず、ぜひご相談くださいね。

▼個別でのご相談を承っています。